KUSAKA Reishi / 日下 芝
絵具を何層も塗り重ねた作業の所作からできる痕跡を絵画空間へ還元していく。
庭園様式の枯山水のような、比喩的思考で、小石や砂利を水に見立てるように、図形を何かに見立て絵画空間を作りだす作業です。何かの対象を平面に描くのではなく図形を使い平面に形態を造型していく感覚です。その対象は風景や人物、静物などありとあらゆる対象同士の空間をヒントに構築していきます。図形や描く対象が重要ではなく対象同士の空間が重要となります。
図形の情景はあくまできっかけであって、その向こうに何かを見たい。それは絵 画の仕組みを使い、精神的な世界にふれるような事ができればと考えています。何 かを抽象化していくのではなく、抽象化されたものを使って具体的空間を構築していく。その画面で起こったイレギュラーな出来事の共有がそのきっかけとなるよう に考えています。
わたしが表現したいものは、情緒や感情などよりも「純粋な空間」を表現できればと思っています。その形式は絵画、立体、インスタレーションであり、どんな形でも良いと思っています。どこにでもある、日常空間を芸術と言われる形式の中に還元化できればと思っています。 (日下 芝)
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